SexualityCleansing


 陵辱ゲームの製造、流通に自主規制。


 国内“一般路線”のニュースからは既に消え去り、鮮度切れの感があるニュースですが、ネットの創作表現関係に敏感な人間(勿論エロスゲームファンの人も)の間では、まだまだ毎日の様に情報が飛び交い、戦々恐々とした状況が続いています。
 元々はイギリスのamazonゾーニングミスで、ちいさなお友達に売ってはいけないえっちなゲームを全年齢向けに販売していた「イギリスの国内問題」の責任が製造元のメーカーを擁する日本に転化されるという、かなり八つ当たり的な印象から始まったこの問題。
 ちなみに、上記のソフトは別にメーカーさんは海外向けに供給していません。
 流通が勝手に持ってっただけです。
 まぁ…日本のamazonで血しぶきやモツが飛び出る洋ゲーが買えるのと同じ理屈です。
 勿論、日本のamazonじゃ、そんなゲームはちゃんと大人向けにゾーニングされてる(筈)です。


 この事件はかなり複雑で、海外、国内の政治、宗教、道徳的な軋轢、利権等が絡み合っている様子で、正直、全てを把握している人間なんていないんじゃないかと思います…
 特に日本のマスコミは碌な情報を発信していない様なので、関連情報を知る為には、海外のニュースを原文で読む、或いは読める方が発信している翻訳系のblogを参照する…又はオタク業界関連のニュースを扱っているサイトを漁る。
 直接の利害者である、えちーなゲームを製造されているメーカーさんのページやメルマガ等でぽろぽろこぼれる情報を見る。


 殆どやってる事は、公開されている信憑性のまちまちな情報から取捨選択し、真実に近づく…というより、自分なりの真実を組み立てていく様な、ちょっとXファイル的な調子になってきます。


 でも、私なんかが拙い文で綴るよりは余程全体像が見えるので、今回の問題ちゃんと知って判断したい方はトラックバックを参照して下さい。


・「Suzacu Late Show」さんのレイプレイ問題関連とか、イギリスオタクの長い冬と短い春の記事辺りとか


 興味が更に出たら兎に角、「表現規制問題」とか「児童ポルノ規制」とか、検索かけて見て下さい…情報を纏めて下さってるページが色々ありますので。


『全てを信じろ、全てを疑え』


 ここから下は、規制関係の問題について私のもやもやっと感じている何かを形にしようと、苦手な作文を試みたものになります。
 残念ながら理路整然な論説とか無理…orz




 私はえちーなゲームの情報には堪能ではない…というか、OSがウィンドウズになってからは、それこそ触った事もないです。
 むしろ、エロゲ、ギャルゲ、アニメ関連のネタはヘビーになる気配があると避けて通る事がある位だったり…
 なら、何故、この問題に関心をもっているのか?
 一つは、エロスとは別の意味で規制対象となっている、残虐行為手当が付く様な血しぶきゲーのファンで有る事。
 そして、もう一つは、昔からこの手の問題は対岸の火事ではなく、直接的にオタク業界(というより創作文化)全体にダメージを与え、大局的な話で言えば、思想の自由を侵す危険性を内包していると感じるからです。
 あ、後、菊池秀行先生のヴァイオレンス&エロース満載の伝奇も好きだし、稚拙ながら文章も書いてるし…なんだ、結構あるな…


 規制する側は、女性や子供の人権保護の為、犯罪抑制の為等、一見完璧な錦の御旗を掲げていますが、その実、規制する事で得られる実質的な効果についてはほぼ全くと言って良い程、情報を見た事がありません。
 日本以上に、本当に異常な迄に厳しく規制している国は既に幾らでもある、と彼等は言いますが、それらの国の現状はどうなのか、一つのものさしとなりそうな、性犯罪の発生件数等の数値を提供しているのは、規制反対派の方です。
 だいたい、性犯罪が日本よりアホみたいに高いものばかりなので反対派に有利な数値とは言え、資料は資料です。
 実際に新しい決まり事を作り、人々に何かを要求しようとしている側としては、資料を検証し、反証を示す必要があります。
 しかし、それは行われない。


 何故か?


A.『必要無いからです』


 昔から、この手の規制をしたがる婦人団体や“道徳的”な人々の中には、明らかに性的関心や性的妄想に対しての嫌悪感や憎悪を原動力とし、民衆の中のそれを煽動している人達が居ます。
 嫌悪感や憎悪には理性的な理由は必要無く、又、理性的、理論的な説得は通じません。


『だって、嫌いなものは嫌いだから仕方ない』


 しかし、本来それでは社会というものは動かないものですが…こと、こういった道徳観念等が絡むものに関しては、無批判で通ってしまいがちなのです。
 反論する者は、道徳に反するものとして、即“悪”となります。
 ついでにいえば、特に無関心な層は、批判側にのっかりがちです。
 反対派に加勢すると“悪”になるし、何よりも“自分とは関係ないヘンな奴等”が叩かれても痛くも痒くも無いからです。
 この固定観念を動かすのはかなり厄介です。
 というか、これが理路整然と覆せれば、学校からいじめとか言われてる犯罪、消えるとおもいます。


 本来は、その辺りを、識者と呼ばれるプロの分析を、これ又利害関係の調整のプロである政治家が評価し、必要なら関係省庁に対応を指示する筈…って、コレでいいのかな?


 しかし、現実はそうは動いていないからこうなるのですが…


・政治家は自分の支持層を増やし、得票をする為にこの問題を利用する。
・官憲は規制利権拡大の為にこの問題を利用する。
・そもそも、抗議している団体自体が、団体の知名度上昇、活動実績確保、それによる資金、政治力の確保にこの問題を利用する。


 邪推、邪見といわれればそれまでなのですが、そう見えて仕方ありません。


 勿論、多くの人が携わっている為、心底、世の中を良くしようとしている人達が関わっている事は否定しません。
 ただ、どうしても政治活動に絡む場合、善意というものはたやすくねじ曲げられ、利用されます。


 子供達を救うだの、女性の人権を守ると点において、創作物から性表現を消毒する事の効果の是非を横に置いたとしても、その優先順位は決して高いものではないと思います。
 勿論、ゾーニングをきちっとして、子供の目に触れにくくする程度の管理は当然です。
 子供の手が届く所に煙草と酒を置かないのと同じ事ですから。


 …というか、子供にそういったものを与えない様にするのは本来は親の仕事かと思いますが


 安易に分かり易いスケープゴートを裁いて安心したい気持ちは、人として共感しますが、問題は、その気持ちを利用して、政治的、金銭的利益を詐取、空費する様な行為がまかり通る事です。
 本来、受難にあっている女性や子供を救う為に投入されるべき社会的なリソースがこんな茶番に注ぎ込まれ、空費されている事に目が向くと実に歯がゆい思いに見舞われます。
 無駄で言えば、箱物行政以上の無駄だと思うんですが…


 これなら、まだ、目的課税でエロゲに課税して、DVを受けた人を保護するシェルターとか、虐待された子供の育英費用にあてろ、とか騒ぐ方がまだマシです。
 まぁ、そんな斬新な政策、絶対に日本じゃできないとは思いますが…いや、それ以前に、不正コピーが多いとか聞くので、メーカーが料金に税金上乗せしても回収できずに潰れて終わるかな。


 しかし…現状勝つ(?)とか食い止める為には、政治力のある団体や個人を巻き込み、無関心な大衆にアピールしてこちら側雰囲気に染めていくしかないのかも知れません。
 難しい話ですが…


 それにしても、無関心な層にアピールするには、「エロゲ規制問題」とか、「表現の自由に関する問題」とかはちょっと言いにくかったり、固い感があります。
 何か、この、性的興味への憎悪と嫌悪からくる道徳のおしつけと、その政治的利用に関するどろどろしたものを定義するとなると…


『SexualityCleansing(性欲浄化、性的関心浄化)』


 辺りが適当でしょうか…日本人はどうも横文字に弱いのは変わらないみたいだし…
 民族浄化問題と同軸に語るな、とか批判を受けそうな字面ですが、憎悪と嫌悪を正当化して政治利用していく辺りは根っこは似通ったものがあると思うんですが。
 勿論、桁は違いすぎますが。


 まとまらない長文を最後まで読んで戴いた方には感謝です。
 この問題については創作を享受する者、作る者双方が関心を持ち続ける事が大事だと思うので、どういう形であれ、考え、調べるきっかけにでもなれば幸いです…