姉妹銀行ビスク東支店


※ちなみに以下の出来事は、2007/05/19のプレイを元にした微妙な長文デス。


 ムトゥーム地下墓地のとある一角。
 乾燥した死体が壁のアルコーヴに転々と並べられている通路の奥、そこに煌々と明かりが灯っている区画があった。
 元々特定の一族を葬る為に作られた玄室だったそこはかなり広い空間で、壁にはそれぞれ3段になったアルコーヴ、床には3つの石棺がおかれている。
 しかし、本来死者が眠っている筈のアルコーヴでは、髪の毛をポニーテイルにしたエルモニーの少女が寝息を立てているし、死者の副葬品の武具が供えられていたであろう鎧掛けと武器棚には、歴戦の傷が刻まれた実用品の数々がおかれている。
 又、蓋の無い石棺の中には遺体の代わりにバナナミルクや揚げパンの包み、ワイン、ウォッカ等の食料品が詰め込まれ、蓋付きの石棺に至ってはテーブル代わりにされているらしく、空き瓶や食いかけのソーセージがのった皿が放置されている始末だ。
 墳墓にあるまじき、ある種冒涜的な生活感が玄室中に漂っていた。
 ちなみにその生活感を発散している大元の住民達は、思い思い、自由気ままにくつろいでいる。

 飲み過ぎて石棺に突っ伏しているピンク色の頭は、酔拳マスターのよふねだ。
 後ろを無造作に紐で纏めた7髪の後頭部が、時折夢見が悪いのかぴくぴくと痙攣している。
 その向かい側では美容師見習いのひむろゆさが、石棺の蓋に妖しげな美容用品を広げて整理の真っ最中だ。
 しかし、美容用品の中に明らかに髑髏マークのついた緑色の瓶や、火気厳禁とか書かれた茶色の瓶が混じっているが…いいのか?


 壁際にたてかけられた巨大な金属鏡の前で、ひたすらMDLをFizzってため息をついているのはドラゴンスレイヤーのこはる。
 70まで上げてから下げまくっているパフォーマンススキルに、まだ少々未練があるらしい…


 ペットのレクスールライオンに寄りかかった体勢で、膨大な量のウッドアローを数えているのはフォレスターのいがらしえみ。
 作業しながら長い耳がリズミカルに上下にぴこぴこ動いているのは機嫌がいいからなのか…というか、コグニの耳って動いちゃっていいの?


 又、部屋の武具置き場の反対側の隅には水桶と巨大な砥石が置かれており、そこでは死魔法使いのブレードマスター、ちゆりが、自分の背丈程もある愛用のシルバーチョッパー(NG)をしゃーこ、しゃーこと音を立てて研いでいる。
 その横でにこにこ笑いながらチョッパーと砥石に水をかけているのは、素材収集全般担当者のほんだヒロだ。
 ほほえましい共同作業というか、お手伝いの光景なのだが…どーみても、使っている砥石は元墓石である。
 オマエラ、罰があたっても知らんぞ…


ちゆり「よし、できた〜」


 どうやら、仕上がったらしい。


よふね「う〜、お水…」


 ちゆり達の背後で召還ゾンビの様な声をたてて起きあがったよふねは、腰の後ろにぶら下げたひょうたんの中身をぐいっと呷る。
 ごきゅ、ごきゅと喉が鳴る。


よふね「…ック」


 火を近づければ発火しそうな程に強烈なアルコール臭が部屋に発散される。
 おまえ、ひょうたんの中に何をいれとるんじゃ…


 そんな緊張感の欠片もないぐだぐだした雰囲気の中にカツカツとエンゼルブーツの足音も高く踏み込んできたのは、プリーストロードのやしお。
 たむろっている姉妹達の中では一番古株である。


やしお「うわ、くさッ、汚ッ…」


 部屋に入るなり鼻を押えるやしお。


やしお「あんた達、いくらここんとか出番が無いからってだらけ過ぎ!…歯ぁ喰いしばれ〜のアニキもタイタンで泣いてるわよ」


ユーコ「くひゅ…あらひ、暗使じゃないから知らないっす」
こはる「わたしも〜」
いがらしえみ「同じく」
ほんだヒロ「あはッ、わたしもです〜」


やしお「うるさーい!…そういえば、あんた達、最近集めた生産素材を銀行に放り込むだけで全然整理してないでしょ?最近上がりが少ないって、せんき姉さん困ってるわよ、お金のかかる年頃の新入りが2人*1も居るし、人間国宝のりかちゃんは、複製上げる予定だから姉妹の金庫は未曾有のレッドゾーン、火の車、英語で言うとファイアーホイールよ!」


 不思議そうな顔でやしおを見る一堂。
 姉妹の戦闘担当者達は一応生活費は自分で稼ぐものの、お金を使い過ぎて生活が立ち行かなくなると生産担当のせんき(メタルマスター)とくびしろりか(人間国宝)に割合簡単にお小遣いを貰えるので、姉妹全体の財政状況には実感がないのである。


やしお「この子達ダメだ…駄目過ぎる…あ〜、もう、考えなくていいから、銀行の戦利品から使えそうなもの出して来なさい」


一同「は〜い」


 ムトゥーム地下墓地銀行内…


ユーコ「やれやれ、姉さんたちはみんな怒りっぽいっすね〜」
ひむろゆさ「全くですね」


 銀行内の金庫をがさがさ漁る面々。


ちゆり「うわ〜、ほこりだらけ」
こはる「宝石って個別にくるまなきゃいけないから、かさばるなぁ〜」
いがらしえみ「肉は、まだ痛んでないみたいですね」
よふね「お酒〜」(ワインのボトルを引き抜く)


『ざらざら〜』


ほんだヒロ「あ〜、骨が沢山です」
ちゆり「これは又、随分と貯め込みましたねぇ…ま、私も人のこと言えないけどね」


 ちゆりの金庫の片隅にも大量のボーンチップが詰め込まれた袋があった。


こはる「ここに居ると貯まるよね〜」
いがらしえみ「私の金庫にも結構ありますよ」
ひむろゆさ「へぇ〜、私の倉庫にスライミーオイルが沢山しまってあるから、調合すると研磨剤にできますね、研磨剤って一度に10個ずつできて、1つ8gでNPCに引き取って貰えるから…えーと10回分の材料を一度に入れて調合すると…100個できて、一回回すと800g」
ユーコ「じゃ、100回分なら8kっすね」
ちゆり「ボーンチップ1kあれば、80k…?」


 無言で金庫を漁り始める一同。


 子一時間後…


 何となく殺気立った表情でそわそわとねぐらに戻ってくる姉妹達。
 何故か、みんな武器を抜いている…


やしお「おかえり〜、なんかみんなして大きな包み抱えてるわね…というか、挙動不審よあんた等」



『どばーん』


やしお「な…なに、この数…4,137個…あんたら、何処にこんなもん隠してたの?」


ほんだヒロ「あちこちです〜」
ちゆり「全部加工すると、およそ320kになるみたいなんだけど…」


やしお「…320…?あちゃ、ッ!」(フレーバードティーをこぼす)


 改めて石棺の上のボーンチップとスライミーオイルを見つめる一同。


ひむろゆさ「でも、スライミーオイルの数が足りないですよ、少し集めないと」
やしお「スライミーオイルっていうと海岸ナメクジ*2か…」
ちゆり「ですね〜、じゃ、頼みます」
やしお「なんで、私がいきなり行く事になるのよ?」
ちゆり「だって、海岸ナメクジなんて一杯でてくるから範囲攻撃できないときついし」
やしお「罠とか、素手のビッグバンフフィストとか、あるし」
よふね(素手)「神秘無いからめんどくさい」
ひむろゆさ(罠)「私…生産のやりすぎで戦闘能力値が全然上がってないんですけど…」
やしお「あー、もう!使えない子達ね〜、大体海岸位リコールアルターで送ってやるわよ」
ちゆり「まぁまぁ…ここは長姉の威厳とか、そういうのを見せつけて下さいよ、ええ」


一同「姐さん、おねげぇしやす!」


やしお「うちらはレディースか何かデスカ?」



やしお『なめくじめぇ!来るな〜!』


 結局乗せられて来てしまうやしお。
 なんか、姉妹に便利に使われている様な気もしますが、まぁ、ダメな妹達の面倒を見るのも姉の役目です。
 自慢の魔法でぶちのめしてスライミーオイルなんて簡単にGETですよ!



 しかし、人通りが激しくて、たまにとんでもないものを連れて来る人も居ます^^;
 ナメクジだけでも結構ちにそうなのに、イクシオンガードとか混じると流石にヤバイデス。
 着こなし0だし。



 ていうか、死にました…orz
 親切な人が通りがかってくれなければどうなっていた事やら、お姉さんも楽じゃありません。
 しかし…早く集めて帰らないと、身が持ちません…


 イヤ、集めるのそっちじゃないって!
 実際集まり過ぎ。



やしお「ぎゃーッ!」




ユーコ「やしおねえさん遅いッすね」
ちゆり「まぁ、リザしてくれっていうTellもこないし、てきとーにやってるんじゃないかな〜」
ほんだヒロ「一杯とれるといいですね〜」


『ずる…ずるるる…』


いがらしえみ「なんだか、変な音がしませんか?」
こはる「そう言えば…」


やしお「きっちり集めてきてやったわよ…セリヌンティウス


『ドサ』


ちゆり「大丈夫?…なんか混じってるけど」


やしお「…はぁ、はぁ…もぅ、どうでもいいから、早く調合して!…320k!」


一同「さーんびゃく、さーんびゃく、320!、320!、320!」


 大変煩い。


ひむろゆさ「じゃ、りかさん呼びますね」
やしお「何いってんの?あんたが混ぜるのよ?」
ひむろゆさ「いや〜、人間国宝の先輩をさしおいて、それは〜」


不明『イイカラダマッテスグニヤレ』


ひむろゆさ「いや、ほんの冗談ですから…武器しまって!…もぉ、大人気ないなぁ…」


 ビスク大聖堂の前までリコールアルターで連行されるゆさ。
 生産担当にバレたら、姉妹銀行*3に全部召し上げられちゃいますからね、みんな必死デス。
 しかし、罠美容のゆさは生産とも戦闘担当とも微妙な立場だったりするので、イマイチピンと来ません。


ひむろゆさ「400回以上も回すなんて面倒だナァ〜」
やしお「よそ見して失敗ぶっこいたら、カオスフレアぶち込むからね」
ひむろゆさ「(なんか目の色違うナァ…)あーい…まぜまぜしますよ〜」


 ボーンチップとスライミーオイルを100個ずつ調合すると、研磨剤が1000個できてしまうのですぐに持ち物欄が満タンです。
 兎に角、作って枠が埋まったら即NPCの売りつけます。

 お金がどんどん貯まります。
 その様、湯水の如し。
 スタミナが無くなるそばからやしおがもりもり回復をかけるので、疲れたと言って休む暇すら無いのデス。


ひむろゆさ「…とりあえず、全部換金できたみたいですね」


ひむろゆさ「見た事も無い金額…これだけあれば、育毛剤が…何本買えるかな〜」
やしお「持ち逃げしようとしたら、分かってるかしら…?」
ひむろゆさ「イヤ、だから…こんな重たい物*4もって歩けませんから…大体、逃げるなら毒種で定期ダメージ入れて逃げますヨ?」


 微妙に殺伐とした会話を交わしつつリコールアルターで東銀行へ向かう2人…


ひむろゆさ「コレお願いシマス…」
ジャリール「大口ですね〜、ありがとうございます♪」
ひむろゆさ「あはは」
やしお「あんたのじゃないからね」(闇夜の剣でゆさの尻をつつく)
ひむろゆさ「分かってますよ〜」
せんき「忘れたら困るから、こっちの口座に入れておくといいんじゃないかしら?」


 固まったまま、首だけで後ろを振り向く2人。
 背後には、マインロードピックアクスをかついだ生産担当の長姉、せんきが…


やしお「そういえば…東銀て、ギガス堀場採掘の中継地点…?」
せんき「はい、その通り…姉妹銀行のご利用ありがとうございますネ♪」


 こうして姉妹達は一日で活動資金を320k増やす事に成功した。
 だが、世間様に居るというM…メガ単位のお金持ちには程遠い、がんばれ姉妹達、たとえ人間国宝のスキル上げに費やされようとも、お金を稼ぐのだッ!


 だって、セイカツガカカッテルシ…

*1:美容師見習いのひむろゆさと、銃器使いのユーコの事…美容薬品と弾薬代がかなりのもんです

*2:ヴァンパイアクロウラー

*3:姉妹の財政担当せんきの銀行口座

*4:320k…重量640