富士見ドラゴソブックってナニ?


 皆さん、富士見ドラゴンブックって知ってマスか?


『え、富士見書房って、“富士見ファンタジア文庫”の他にナニか出してたっけ?』


 と思われた方は・・・わりと“正常”デス!


富士見書房って、“富士見ロマンス文庫”出してた所だよね〜』


 と思われた方・・・“H、スケッチ、ワンタッチィ!”・・・死語の世界へバッドトリップ♪


『ああ、あの“アリアンロッドTRPG”とか出してるブランドね・・・』


 と思われた方・・・“現役TRPGゲーマー”デスね♪


『あゝ、あのぴかぴか綺麗なホログラムがついてた“クソ高価い本”ね〜』


 と思われた方・・・貴方は“戦友”、或いは“同士”であります!


 富士見ドラゴンブックとは、その昔、富士見書房が刊行していた主に海外ファンタジー小説とTRPG関連の書籍を扱ったブランド*1で、中でも海外ファンタジー小説の表紙の左上にはドラゴンの紋章が浮き出るホログラムが貼られていて、別格の雰囲気を醸し出していたものデス。
 そこそこ有名な所では「ドラゴンランス」シリーズがありまして、「ドラゴンランス戦記」、「ドラゴンランス伝説」等々、割と順調にシリーズを重ねていたのですが・・・*2まぁ、“富士見ドラゴンブック”で調子が良かったシリーズ等、ホンの一握り・・・
 時代がそうさせたのか、“富士見ドラゴンブック”は毎月のよォに海外ファンタジーの新シリーズを繰り出し続け・・・
 以下の様に刊行し続けたのでした・・・正に時代は海外ファンタジーバブル!*3
 調子に乗って、ちょっとネタバレ気味の紹介でも載せちゃいましょう・・・どうせどれも絶版で入手困難*4な代物ばかりだし・・・
 でも、


『俺は、古本屋からサルベージして絶対に読んでやる!』


という勇者は、以下を読まない様に・・・


『お前のせいで、読む気が失せた!』


という苦情は受け付けませんので♪


「ムーンシェイサーガ(全6巻)」
 某国の王子様がまぁ、密かに復活していたおっかない魔獣カズゴロスをやっつけるべく伝説の剣で戦うお話・・・なのですが。
 とかく、このお話負け戦デス。
 敵がやたらと人心を操る力を使いまくったりして、王子様は仲間と喧嘩するわ、主人公の側の勢力が手を打てば裏目に出るわで・・・ヒロインの叔母(母?)のドルイド尼僧は仲間を率いて本拠地でゾンビ軍団と戦って玉砕、×××された挙句に、精神を乗っ取られて、敵役の悪僧の奴隷にされ、大地母神は魔獣にむしゃむしゃと喰われてしまいます。
 まぁ最後には一応ハッピーエンドになるのですが・・・ちなみに翻訳をかの荒俣宏氏がしてたらしいデス。


「シャドウデイルサーガ(全6巻)」
 主神“オー”とかいう神様が、めちゃくちゃ大事にしている石版を盗まれてマヂギレ『オマエラ何しとったんじゃァ!、石版見つける迄ゆるさへんぞォ!』
と、手下の神を全部人間にして地上に叩き落してしまい、更にその石版が手に入れると“アヘアヘウヒハ〜”*5だった為に、悪神“バール”様は大ハッスル、自分の信者の“ベイン”君に取り付いて見た目をちょっと化け物にしたりしながらも大活躍、災難にもその騒ぎに巻き込まれた「ミッドナイト」、「ケレンヴァー」、「シリック」の即席パーティーを追い詰めます。
 かなり大変な騒ぎに巻き込まれているにも関わらず、それぞれ後ろ暗い過去を持っている上、なし崩しに一緒になっただけの一行は滅茶苦茶喧嘩しまくり、色々と大変な事に・・・
 上の「ムーンシェイサーガ」のパーティもかなり酷く仲違いしてましたが、こっちのパーティはもっとヒドイデス・・・何しろ本気で仲間をコ○シしちゃうし・・・
 最後は目出度く石版が戻って主神「オー(実は中間管理職)」安心♪・・・しかも、実はそんな事、結構どうでもいい位のオチが主人公達に待っていたんですけどね・・・


「ムレムの書(全8巻)」
 「ネコミミ」ならぬ「ネコアタマ」の種族「ムレム」が変なトカゲ種族と戦うお話デス。
 「カヴァラ」とかいう、魔力を強化してくれる紅い石のかけらの奪い合いで当初話は進んでいた筈デスが・・・そんな事結構どうでもよかったり・・・
 出てくる連中がやらかす悪行がさりげなく生なまし過ぎて・・・ちょっと読んでる内にイヤンな感じでした。
 ネコ山賊は(一応)ヒロイン達を捕まえたら、もう即「ハッスルタイム!」で・・・、『もぉ、グルグルと・・・』(田丸ヒロシ風)な感じだし・・・トカゲ野郎は、毛並みの良いムレムを剥製にするし・・・こんな本、子供は読んじゃイケマセン!


「プールオブ〜」シリーズ(2巻迄刊行で打切)
 「プールオブレイディアンス」とその十年後「プールオブダークネス」迄が刊行されました。
 「フラン」と言う町が舞台で、三人のそれぞれの問題を抱えた冒険者が出会い、小さな探索を繰り返しながらそれぞれの問題を解決していくという、中々親しみやすいお話です。
 続編の「プールオブダークネス」になると、主人公の内2人は既に町の名士となっており、もう一人のレンジャーも、自分の土地(オーク数十匹付き♪)を所有し、いかにも“成功した冒険者”といった感じになってます。
 昔かたぎのファンタジーTRPGセッションをやっていた人間にはこのシリーズ結構お勧めです・・・手に入れるのは至難だと思いますが。


「探索の魔石シリーズ」(2巻迄刊行で打切)
 記憶を失う程に酒を飲みすぎた女性剣士「エイリアス」が目を醒ますと片腕の前腕部に怪しげなシンボルの集合体に見える刺青(魔法)が入れられていた・・・
 という発端から始まるお話。
 行商人を兼ねた魔術師(一夫多妻の人)と感情で匂いを変化させる特技と先っちょがダイヤモンド型になった珍妙な剣を持ったトカゲ人「ドラゴンベイト」を道連れに旅は始まり、途中胡散臭いハーフリングの(自称)吟遊詩人を拾ったりして冒険は続くのですが、お調子者の青年魔術師がたまたま「アゾウン王」の物まねをした所、「エイリアス」バーサーク!、彼をぶち殺しかけます・・・この辺りから物語りはおかしな方向へ。
 自分の記憶にはあるのに、相手はだれも「エイリアス」を憶えていない・・・スリリングな展開がッ!・・・楽しいんですけどね・・・これも2巻打ち切りです〜
 まぁ、エピソードはそれぞれ1巻、2巻で一応完結してるので、独立したお話として楽しめます。


「アイスウィンドサーガ」


 今まで上げた中で、一番お勧めデス!
 主人公は、
『好っきなこっと、好っきなこっと、悪い事〜』
な実家(ダークエルフ王国)に馴染めずに出奔し、最果ての地「アイスデイル」に安住の地を見出した心優しきダークエルフ「ドリッズド・ドゥアーデン」・・・まぁ、「アイスデイル」でも彼は色々と微妙な立場なので、一部の親しくしてくれる仲間、ドワーフの「ブルーノー」、その養女の「キャッティブリー」、そして少々ちょっと胡散臭いハーフリングの「レギス」とそれなりに幸せに暮らしていたのですが・・・
 困ったマジックアイテムを解放したちんけな魔術師が、ゴブリンだの、巨人だの、野蛮人だのを集めて、「アイスデイル」を脅かし始めます。
 数少ない理解者達の為に立ち上がった「ドリッズド」は戦いの中で「ブルーノー」に情けをかけられて捕虜となった蛮族の若者「ウルフガー」を弟子に迎え、ちょっと頭がアレだった「ウルフガー」君はやがて一端の戦士に育ち、大事な仲間になっていく・・・と、実に読んでいて飽きの来ない緩急絶妙な作品な仕上がっています。
 とてもとても、私の拙い文章などでは魅力を伝えられないので、興味が湧いたお方は、実際に手にとって読んでみる事をお勧めします。((ただ、滅茶苦茶手に入りにくいですが、手に入るなら富士見ドラゴンブックの文庫で“6冊”出ている原著が良いと思われます・・・アスキーから出ているハードカバー番の“9冊”は翻訳が児童向けにかなり平易な表現に改変されているらしく、かなり雰囲気が違うとの事。))


 以下のシリーズは残念ながら読んだ事無いんですよね・・・この辺りになるといい加減、気力もお財布もくじけてたし・・・「熱砂の大陸」とかは身内では評判よかったんですけどね。
「ダークソード(全6巻)」
「熱砂の大陸(全6巻)」


 あー長かった・・・出来心で妙なネタ振りをするもんじゃないなぁ・・・
 ファンタジー縛りでなければ、もっとお勧めの本はあるんですが・・・それは又今度と言う事で。
 って・・・誰かこんな長文読んでる人居るんだろうか・・・

*1:TRPG関連書籍は今でも“富士見ドラゴンブック”で扱われてます

*2:ちなみに、現在富士見文庫版は絶版ですが、角川書店が“ドラゴンランスシリーズ”を引き取っており、ハードカバーにて初期シリーズ全六巻、及び新シリーズ“ドラゴンランス魂の戦争”を刊行中です・・・詳しいことはhttp://www.ascii.co.jp/dragonlance/

*3:私の偏見の混じった時代解釈デス、悪しからず・・・

*4:富士見書房は当時余程の作品でなければ、初版即絶版がデフォルト仕様の会社として一部で有名でした・・・ただ、“アイスウィンドサーガ”だけは、しばらく前に登場人物の“ドリッズド・ドゥアーデン”主演の“ダークエルフ物語(全3巻、ハードカバー)”がアスキーから出版された関係で同社から全9巻の形態で再販されている模様

*5:よく憶えてないけど凄い事が出来るのですよ〜