死者の短剣 遺産
書名:死者の短剣 遺産(創元推理文庫)
著者:ロイス・マクマスター・ビジョルド
結構前に出た、ビジョルド氏の死者の短剣が続巻してくれたので購入して、読了!
この人の作品は前に買った「チャリオンの影」から始まる五神教シリーズ三部作(まだ出てるのは第二部までだけど…)が面白買ったので期待してたんですが、相変わらず楽しく読ませてくれます。
初作の「惑わし」で無事に結婚式を済ませて嫁(ヒロイン:フォーン)の実家を後にした、ダグとフォーのン二人組ですが…今度は旦那の実家に行かなきゃなりません。
嫁の実家以上に結婚を反対される事間違い無しの状況、どうなっちゃうんでしょうか?…っていう導入。
(注…というか解説?)
※死者の短剣の世界には、「基礎感覚」という魔法(というか超能力的なもの)が使える「湖の民」と、魔法が使えない「地の民」が居ます。
どっちも人間ですが、湖の民の方が長命で…まぁ、普通のファンタジーのエルフ的立場だと思えば大体間違い無いです。
湖の民は地の民を見下しているし、地の民は湖の民を余り信用していません。
そして、この世界には悪魔の卵がそこら中に埋まっています。
悪魔は目覚めると周囲の生物を喰いまくって超進化を繰り返すだけの生き物ですが…生憎と湖の民が己の命をもって作り出す究極のアーティファクト、死者の短剣でなければ倒せません。
湖の民は、ある歴史的背景から悪魔狩りを自分達への義務として行っており、基本的に彼等の生活は全てが悪魔狩りの為に存在する感じだったり…でも、その義務感が、“守ってやってる”的な優越感に繋がっていたり。
地の民は、当然見下されてるのは察しているので、“もっと早くこれば死ななくて済んだヤツもいるのによォ!”的な反応デス。
そんな中で、湖の民の熟練警邏員ダグ(バツイチ、もういい年…50オーバー)が、任務中にたまたま拾った地の民の娘ッ子、フォーン(18歳)といつの間にやらいい仲になっちゃったんだから大変です。
当然、湖の民と地の民が結婚した事例自体ありません。
ていうか、主人公が50オーバーのおっさんで、ヒロインがご懐妊状態で登場するなんてショッキングな出だしっていうのも中々インパクトがあったり。
…あれだけ一杯出てるから、一冊位似た様な設定のラノベがあったりして。
さて、前作で嫁の実家で、大変問題のあった家庭環境を成敗するのに苦労してましたが、今回は旦那、ダグの実家が問題。
家族と過ごすのがイヤになって、仕事に逃げてたとか…正直、人(まぁ、配偶者ですが…)の家族問題を云々してる場合じゃなかった事が判明します。
当然、周囲全員が超能力者みたいな村で、嫁のフォーンは偏見に晒されまくりつつ、だんなの姑と、この泥棒猫!、とか、昼ドラばりの激闘を…
それだけでもヤバイというのに、でかい悪魔まで出てくる始末。
相変わらずビジョルド氏の小説に出てくるキャラは大変な目に合う人が多いです。
しかし、五神教シリーズでもそうでしたが、絶対的な危機にもちゃんと解決手段が用意されていて、成る程な〜と思わせてくれるのがいいです。
そして、主人公達の個人的な行動を見つつも、ちゃんと周囲の割と大きな事件に関わって、解決していたり、割とささいなやりとりの積み重ねで少しずつ世界観を自然に把握できるというか、楽しく読ませてくれるのがいいですね。
元々SF書きさんなので、その辺はロジックなのかも…いや、SFにも力業の展開は多いし、理詰め的なファンタジーもあるとは思いますけどね。
次も楽しみだ〜
…というか、五神教シリーズも次出して無いかなぁ。