D&D MODERN 〜惨劇の井戸〜


 GW中は暦通りにお休みだったのですが、初日は知人との小旅行で喜多方方面へ。
 可愛いネコがいっぱい居た…じゃなくて、ラーメンを頂いてきました。
 毒リンゴサブレとか、日本一まずいバターパンとか、モーツアルトのお酒とか、イロイロ面白い体験でしたが…


 その次の日辺りに、メンバーが集まったので…


『まさかの時のTRPGの合宿開始!』


 最初に拙作のワールドを使った「D&D MODERN」のセッションにてGMをつとめさせて頂きました。




 拙作のワールドでは、一応、現代日本が舞台となっておりますが…D&D故、魔法、モンスター、ついでに超文明の遺跡等々が存在した結果、過去の世界大戦にて、それらがふんだんに用いられ、空間に歪みが生じやすくなっていたり、少々大変な事*1になっております。
 おかげで現代、どこからとも無くダンジョンが湧き易い状況となってしまったまま半世紀…現代でも冒険者稼業は花盛りなのでありました。


『まぁ…派遣業ですけどネ!』


 空間の安定率が悪いわ、何が居る変わらないわのダンジョンは、治外法権、無法と力が支配する世紀末な場所故に、そこに入り込む人間の命は保証できない為、公務員等の人材の損失を恐れた国は…力だけは有り余った、社会的に失われても別にそんなには困らない連中を資格を与えた派遣業者に集めさせてダンジョン関連の雑用をやらせているのでした。


 そんな、しんどい派遣ビジネスに飛び込んだ勇者は以下の3人。


・山本耕介(やまもとこうすけ/人間/男/22才/田舎暮らし/LV3)
→(ストロングヒーロー2LV/ファストヒーロー1LV)
>退屈な田舎暮らしに満足出来ず、家伝来の刀を倉から持ち出して状況してきたという、ある意味正統派の冒険者

・相澤美樹(あいざわみき/人間/女/18才/有名人/LV3)
→(スマートヒーロー3LV)
冒険者稼業で稼いだ金を芸能活動につぎ込んでいるという、インディーズアイドル
 本人はトップアイドルを目指す気があるっぽいが、自動小銃を買い集めて喜んでいる様なアイドルって、今は許容範囲なんだろうか…?
 将来は魔法を学びたいらしい。

山田一八(やまだいちは/人間/男/20/軍人/LV3)
→(ファストヒーロー3LV)
 日本自衛陸軍*2に所属していた元軍人。
 朝鮮半島の戦線*3か何処かで実戦を経験しているらしく、若くしてちょっと醒めている。


 そんなバラバラの3人は、場末の小さな事務所、後藤派遣事務所に所属しており一応知り合いの状態でスタート。


 仕事もなく、事務所でたむろって居る一同の所に、小柄で着物を着たエルフのお嬢さんがやって来る。
春川七恵(はるかわななえ/女/エルフ/60才)美樹の知人で良い所のお嬢さんである。
 彼女はどうも、許嫁の桂木孝夫(かつらぎたかお/エルフ/男/132才)の回りに、孝夫の友人でトラブルメーカーの宇野一馬(うのかずま/ノーム/男/22才)がうろついているのが気にくわない様子であった。


七恵「何か良くない事が起こらなきゃいいけど」


 そして、後日暇そうにしていた耕介と一八は、後藤所長に桂木孝夫が経営する老舗の魔法用品屋に、薬等の買い出しに行かされる。
 物腰が柔らかくて品が良く、穏やかな孝夫とのやりとりに和みつつ買い物を済ませて帰ろうとする二人は、はしっこそうなノームとすれ違い、それがどうも、七恵のぼやいていた迷惑ノーム、一馬だと確認する。


一馬「お仕事おわったー、今日は呑もうよ!」
孝夫「はいはい、相変わらずせっかちですねぇ」


 そして、二週間後…


 事務所でくつろぐ一同。
 そんないつもの状態の中、美樹の携帯に七恵から連絡が入る。
 どうやら、年中無休の孝夫の店が、一週間前辺りから閉まったままらしい。
 何の連絡もなく姿を消した様な状況の許嫁を心配する七恵の様子と、ツケの利く店を心配した後藤所長の指示を受け、現地に向かう一行。
 現地で七恵と合流した一行は、家の中に入るか、一週間前に近所で目撃されているトラブルメーカーノーム、一馬を追うかで迷うが、結局、不法侵入じみた事をするのは後回しにする事にして一馬を追う事に。


七恵「あのう…これ、役に立ちますか?」
→(宇野一馬の身辺調査報告書)


一同(微妙な視線)
七恵「ち、違います!私が頼んで調査して貰った訳じゃないですから!」
→両拳を握って、上目遣いに力説。


耕介「…まぁ、萌えたからいいや(笑)」


 報告書により、宇野一馬の家の情報を得た一行は、汚いアパートに踏み込み、PCをハッキング、彼が在宅ワークで作った金を手に、SNSのオフ会に参加する予定である事を突き止める。
 新宿のパ○ラのオフ会にて首尾良く一馬を確保した一行は、尋問を行うが、一馬はあっけらかんと当日の記憶が無いと何故か嬉しそうに主張する。


一馬「あの日は僕、目が覚めたらトイレでさー、孝夫君はそのままお店いったと思って帰ってきたんだよ〜」


 孝夫が行方不明だと告げると、一馬は心底驚き、一応、心配している様子なので彼を連れて孝夫の店へ向かう。


 孝夫の店に着くと、もじもじしながら待っていた七恵の目の前で、庭の隠し場所から鍵を取り出し、普通に家に上がり込む一馬。


一馬「孝夫くーん、どこ?」


 拳を握って背中をぷるぷるさせる七恵に同情のまなざしを注ぎつつ中へ進む一行。
 家の中はどこもきちんと整理されていたが、居間には、酒宴の跡がそのまま残されており、異様な雰囲気である。
 そして、庭に出た一行は、古井戸を発見。
 井戸の縁で苔が削れた跡と、庭を踏み荒らした小さな足跡、そして、井戸へ真っ直ぐ歩き、帰った様子のないもう少し大きな足跡が確認された。


美樹「…これって」
一八「落ちてますよね」


 そして、一同が身につけていた現代冒険者の必需品「タキオンバロメータ」…空間の歪みから発せられる謎粒子測定器がぶるんぶるんと反応。
 どうやら、井戸の底はダンジョンになっちゃっている様子…


一馬「うわー、タイヘンダー!」
七恵「お願いです、速くあの人捜して下さいっ!」


 七恵の依頼という事で、事務書類を作成した一行は装備を整えて井戸の底へ…横穴を進むと、そこは、ゴブリンの巣の様だった…


 少し広くなった空間にはぐちゃぐちゃになった小さなヒューマノイドの死体が…
 床には何かを引きずった様な跡が続いている。


耕介「こいつはミンチよりひでぇぜ!」
一八「こりゃ、あの人生きてるかな…」
美樹「奥に引きずられて行ってるんじゃないかな」


 警戒しながら引きずられた跡をつける一行。
 途中、脇道にそれ、ゴブリンの寝室で惨殺されている一家や、削り取られた壁を見つける。
 小さなゴブリンの女の子が角からのぞき込んでいたのにも気づいたが、逃げられてしまう。
 そして、何か、激しく謎粒子をまき散らしながら宙に浮いた玉を見つけるのだった。


耕介「なんだこりゃ…取り敢えずは放っておこう」


 一族のシャーマンだったとおぼしき人物の部屋を探索していた一行は、またもやゴブリンの汚い娘っ子が角から覗いているのに気がつき、一通り部屋を物色した後に娘が消えた方向に向かう。
 その通路の端は、一見、引きずられた跡が壁に消えている様に見えたが、実は小柄な者なら這い込めそうな隙間が開いていた。
 体が柔らかく、小柄な一八が中に入る事に。


 中に這い込んだ一八は薄暗い部屋の中で必死に水晶玉を磨くゴブリン娘と、部屋の奥に寝かされている孝夫を発見。
 ゴブリン娘に忍び寄って一撃、気絶した娘を縛り上げる。


孝夫「…いや、余り手荒な真似は…その子が助けてくれたので」


 合流した一行は、孝夫の口から事の真相を聞かされる。


 一週間前、呑みに来た一馬が井戸をトイレにしようとした所、井戸の中にはゴブリン娘が居た。
 一馬は面白がって孝夫を呼び、駆けつけた孝夫が井戸をのぞき込んだ時、よろけた一馬が孝夫を井戸に叩き込んでしまったのである。
 べろべろに酔っぱらっていた一馬は庭に落ちてそのまま寝てしまい、井戸の底でゴブリン娘を下敷きにした孝夫は脚を折り気絶。
 誰もいなくなった洞窟で人恋しかった娘が彼を隠れ家に引きずり込んで保護していたのだ。


 ちなみに、この洞窟は元々ゴブリン「ガサ」一族の住処であったが、ある時、でかい化け物が2匹襲ってきて、戦士とシャーマンを打ち負かしてしまったらしい。
 その際、一匹は倒されたが、もう一匹はシャーマンの弟子であったゴブリンの娘…「ア・ガサ」が師匠の秘蔵の巻物(霊魂追放)で追い払おうと試みた。
 しかし、実力も足りず、得体の知れない巻物を読んだ結果、化け物は中途半端に追放された状態で、一日数時間は実体化、洞窟自体は訳の分からない所(現代)へ飛ばされてきたという事らしい。
 ちなみに、生き残りは全て食われ、生き残りは小部屋に這い込めるア・ガサだけとなっていた。


 とりあえず、一行は引き上げる事にするが、帰りの道には、例の謎粒子をまき散らす玉が浮かんでいた。
 銃撃すると、玉は弾け、不気味な咆吼が洞窟に木霊する。


 タキオンバロメータの警告と共に、そいつは逃げる一同の前に姿を現した。
 黒豹の体に触手が生えた猛獣。


耕介「おいおいおい、アレってディスプレイサービーストじゃん!死ぬZE!」


 かけられていた魔術のせいか、謎粒子をまき散らして、存在がバレバレなディスプレイサービースト*4を銃撃で牽制しつつ逃げ回ります。
 途中のトイレで大昔の冒険者のなれの果てから、トゥルーシーイングのスクロールを回収しつつ、ディスプレイサービーストが待ち構えている大部屋へ。
 高い回避率と、半々で攻撃を無効化する虚像に苦戦する一行だが、前半の探索で見つけていたマジックミサイルのスクロールを孝夫に唱えさせたり、説得しておいたア・ガサにもマジックミサイルを撃たせたりと、ちまちまとHPを削り取ります。
 そして、トゥルーシーイングをかけてもらい、虚像に惑わされなくなっていた耕介の攻撃がクリティカル!、日本刀がビーストの命を削り取ります。


 崩れ始めた洞窟を駆け抜け、井戸に戻った一行は上で待機していた立ち会いの警官の手を借り上へ脱出を果たしたのであった。


 ダンジョンの崩壊に伴い、井戸から吹き出る謎粒子。


 結局、一馬は説諭されて放免。
 ゴブリン娘、ア・ガサは孝夫の店で面倒を見られる事になったのであった。


 結局、七恵さんはご機嫌斜めの結果*5になってしまった様である。

*1:現実では原爆だった所を、アメリカが衛生軌道上に存在した遺物…よく分からない空間歪曲兵器を広島と長崎にぶっ放し、その後、暴走したかの兵器で世界中にクレーターが…

*2:こちらの世界では、連合軍もそれどころじゃなかったので、日本は集団的自衛権を放棄してません…

*3:…世界混乱のどさくさに紛れ、世界でも被害の少ない方だった中華帝国は半島に攻め込み、島全体が修羅のちまたに…更には、沖縄、九州までもが脅かされる自体になり得る状況だった為、アメリカを始めとした連合国は急遽日本軍の武装解除を撤回、これを支援し、半島の中華帝国を押し戻した…現在では半島には独立国家、朝鮮民国が存在し、中華帝国とにらみ合いが続いている…日本自衛軍も人員を派遣し、防衛を支援しており、これは防人任務と呼ばれている

*4:本来なら忍び足の修正が+8もあり、ものすごく見つけづらい…筈

*5:…この世界のゴブリンはちょっとだけ、捻ってあり、男は醜く、女は妖精的な美しさを持ち、幼型成熟する…エルフの上流社会ではゴブリン娘をペットの様に可愛がったり、夜のお相手をさせる悪い趣味が存在する…しかし、孝夫さんには他意は無い